3度目の殺人 二分の一重人格という斬新設定

作品の主張

人は人を裁けない 人は人を理解できないから

 

物語の進み方

現代は仕組みが人を裁く 人を理解する人は生まれてきてはいけない

 

宗教的なモチーフを使用。

十字架・・・真実、罪、裁き

対比として

司法の船(ノアの方舟)・・・仕組みで命を選別する

ただし、信仰的なメッセージはなく人智を超えた概念を表現するためのツール。

 

三隅(役所広司)の言動から人格を分析したいが、確定できないような発言をあえてしている。これは人は他者を理解できない、というメッセージにつながるため定義しないのが妥当。一つ言えるのは、通常の人格と空の器としての人格が同居していること。通常の人格が、誠実であるか卑怯であるか正直者か嘘つきか それは不明。

あえて考えるならば 誠実温厚厳格な本来の人格と、他者の欲求を汲み取る器人格 とするのが妥当か。

 

三隅は、裁くために殺す。最後は裁いたものの罪を背負って3度目の殺人(死刑による自死)を行なった。

 

 

かんそう

非常に技巧的な作品。

三隅が死刑 という判決だけがくだされ、真実は明らかにされない。

共感・感動させてもらえないすっきりしない終わり方が、かえって作品のメッセージを鮮明にする。

あなたは三隅(役所広司)を理解できましたか?

山中咲江(広瀬すず)は誠実な正直者ですか?隠し事をする嘘つきですか?

何もわからないあなたは三隅を裁けますか?